卵の中の黄身

我もなく うつし世もなくなにもかも  神の中なる 神のあらわれ  BYダンテス・ダイジ

無限

 無限は確かに存在する
 しかし頭でイメージすると
 それはイメージに過ぎなくなる
 しかし無限はイメージでしかないのか、
 と言われると
 それもまた違う気がする・・・

 無限の空

 せせこましい東京の街にいても
 ガンジス河のほとりに佇んでいても
 礫と砂の無限の荒野をみていても

 僕らはいつも同じ無限の空の下にいる
 僕の現実は
 無限大の空を感じる時に
 無限小ののおののきを知る
 無限に見える砂漠も
 無限の空が包み込む
 小さな砂場に過ぎない 

 この肉体が朽ち果てていくにも関わらず 
 僕が幸せでいられる可能性があるのは

 魂の不死性によるものではなく
 僕が無限の命の一部であるがゆえ

 コンクリートの隙間で
 公園の花壇の中で
 いたるところで自己を実現している
 神の命であるがゆえ

 今、ここに自己を実現している
 僕らの命を祝いあい
 抱き合いたい


巡るもの

すべて、唯一の源から溢れ出る
樹とそれを染める朝日とは
かつてひとつであったことを
思い出しているかのように
調和している

地下を流れる水と、根からそれを吸い上げる樹と
梢に止まる鳥とは

決してわける事の出来ない


真空中にも存在し
決してなくならない


近代科学は生命と物質を分けるが
宗教はすべてを生命とする

お互いに与え合う命
生命とは
お互いに与えあいつつ
維持するもの

個的現実としては
与え合うものだが
そこに
受けとるものも 与えるものも
誰もいなければ
唯一の命のみが在れば
ただすべては巡るもの
生命とは巡るもの

星のように血のように
オメガの肉体の中を・・・










 来し方に未練げに郷愁の目を向け
 行く末を浅ましく案じるもの

 毎瞬ごとの選択に気が触れかけているもの

 思い出を後生大事にするくせに今現在の自分については
 何ひとつ知らないもの

 我

 自分のことばかりにこだわり続ける癖に
 自分の正体を知らないもの

 ご都合主義の未来を信じるもの
 陰気すぎる未来が好きなもの
 何も起こらないと気が狂うもの

 我

 我は 言い続ける 

 ないものを ある
 あるものを ないと

 過去とか未来とか こことかあそことか
 自分とか他人とか 男とか女とか

 ないものをあると言うから
 本当にあるものが決してわからない

 我とは

 絶対的な在るものが ないものをあると言った

 その嘘だ

 その嘘が消えるのは

 絶対的な在るものが あるものを あると言う時だろう

 我 消え行くのみ

 

















化石の夜

 時は流れる、時は流れる。

 今までに100億年もの時が流れたかもしれない。

 この場所において、僕は100億年でさえ流れ去ったことを知る。

 そんな風には思えないが、ここは100億年もが流れ去った場所だった。
 この真夜中の部屋は・・・

 そしてこれからも100億年もが流れ去る。

 夜中に目が覚めるとそんな風に感じた。

 そして、僕という「形」はつかの間の戯れとして、時に浸食され朽ち果てていく。100億年の後、僕の魂も化石になっている。

 昨日、500円で買ったアンモナイトの化石を見つめた。

 それは約4億年前のデボン紀の化石であると言う。

 その美しい螺旋形は、絶対者の創造法則をそのまま結晶化させたように見える。そして、それはきっと僕自身の一部なのだろう。

 もしもこれが、僕でないのならば

 僕の存在は時の中に消滅して

 誰にもかえり見られることはないだろう

 しかし、もしこの化石が僕自身であるならば

 いつかこの大きな宇宙が

 僕の化石を自分自身として、愛でてくれるだろう

 億年ののち

 あるいは、今



 



  





白亜紀の海

 白亜紀のとっても温かい海の中で
 僕は泳いでいたんだ
 とても自由で 心地よくて
 うみゆりの間をすり抜けて
 珊瑚の歌を聴きながら 
 海流に乗って流れているだけでよかった
 光 ゆれる みなも
 大きな魚が僕を飲み干す
 僕は知っていた
 僕はこれからもっと大きな命に
 なるということを
 僕は知っていた
 これはどこまでも正しい事だと
 僕はこの日を待っていた
 僕はあれからずっと食べられ続けたんだ
 そして、どんどん大きな命になって行ったよ
 自分を全部、あげるたびに僕は大きな
 命として生まれ変わっていく 
 だから僕はどんどんこう言える様になっていった
 さあ、私を、食べたまえって
 どうやらよろこんでご馳走にされることが 
 宇宙では進化というらしいね
 
 そして
 一番大きな命に食べられちゃった僕は
 一番大きな命になって
 今
 君を包んでいるよ
 白亜紀の海も
 うみゆりのささやきも
 ここにある 

 君のためにみんな歌っているよ
 君のためにみんな泣いているよ
 君の存在のために
 かつて存在したすべては
 みんな身を捧げたんだ

 あの白亜紀の海よりもずっと広い命の海を
 僕はみつけた







終りのない呼吸

 森よ、ありがとう
 ここに来ると、急に胸が楽になった 
 ここはこの辺で一番空気がきれいだ
 君たちが大気を浄化している
 一瞬、一瞬尽きることのない無限の大気が
 流れ込む
 一瞬、一瞬ひっきりなしに貪欲に空気を欲しがる
 私の肺
 私の胸は穏やかに収縮し、膨張する
 この息はきっと
 決してとまることはないだろう
 この私の死のあともずっと
 すべての人類の死のあともずっと
 すべての生命の死のあともずっと
 未来永劫
 宇宙にはきっと
 呼吸の音がするだろう
 すべての星空も燃え尽きた
 崩壊する暗黒の宇宙の
 向こうからも
 
 誰かが、なにかが、はっきりと息づいている

 セミが鳴いている
 あの鳴き声は何を語っているのだろう
 鳴いているセミは苦しいのだろうか
 鳴いているセミは
 楽しいのだろうか
 それとも何も感じずに
 鳴いているとも思わずに
 鳴いているのだろうか
 それならば
 そのようにセミを鳴かせる力は
 どこから来るのだろう

 一生懸命に
 自然から与えられた声帯を
 震わせながら
 セミが鳴いている

 夏の太陽の下で
 100年前と同じように
 そしておそらくは
 100年後も同じように
 セミが鳴いている

 全く同じ太陽の下で
 全く違ったセミたちが
 同じように叫び続ける

 それを聴く人の内側で
 それに応えて
 激しく泣く何かがいる

 激しい雷雨が街を洗う時
 セミは幹に止まって
 死んだようにじっとしている




心から・・・

 あなたは、心から感謝できる過去があるだろうか?
 心から今に感謝していなければ
 心から過去を感謝することもできない

 というのも僕らは
 心から感謝できる未来が来るかどうか
 不安だからだ
 過去をうらむスペース
 過去うらみ部屋を残している
 そこで僕は
 過去に向かって
 お前のせいだ、と言っている
 だから心から今に感謝できない
 近くにありすぎる幸福に気づけない

 大丈夫
 あの大嘘つきたちの嘘を
 信じてください 

 心から今に感謝するであろう未来
 心から過去に感謝するであろう未来
 そこは必ず存在する
 過去恨み部屋は溶けて消えちゃった
 そこでは僕は過去に向かって
 本当にありがとう と言っている
 そこが必ず存在することが信じられれば
 心から今に感謝できる
 だって、絶対の至福への道を歩いているんだから
 必ずそこにたどり着くんだから

 心から今に感謝できたら
 すべてが輝きに満ちているかのように見える
 そしたらもう
 心から今に感謝できる未来も
 いらない
 優しい嘘よ さようなら
 
 どんな未来もいらない!
 過去も未来もない・・・
 
 今・・・ 今・・・・ 今・・・ 
 ゴール・・・ゴール・・・ゴール









 困ったことに
 僕らは意識だった
 
 プラクリティのなかじゃ
 腰が落ち着かない
 霊と物質が結婚し
 シバとパールパティ
 が交わるから
 神秘というものが生まれてしまった
 
 神のみならそれを包み隠すものなどなく
 物のみならその内に秘する何ものも
 なかった

 プルシャとプラクリティが結合し
 見知らぬ世界が現われた
 
 僕らが意識ではなければ
 すべてはなく
 苦しみも喜びもなかった
 
 もしも意識がなければ・・・
 
 しかし困ったことに・・・
 僕は意識だった
 困ったことに
 宇宙とは意識だった
 
 それは困ったことに、本当に神秘だった



愛のコトバ

 誘惑の言葉ではなく
 脅迫の言葉でもなく
 
 愛の言葉を語りたい

 誇示の言葉でもなく
 媚の言葉でもなく
 
 愛の言葉を語りたい

 誰かに会うときはいつでも
 愛の言葉で語り合いたい

 支配の言葉でもなく
 隷属の言葉でもない

 愛の言葉をあなたと語りたい
 僕たちが死ぬまでに
 それほどの時間はないから
 
 愛の言葉のない人生は
 淋しすぎるから

 ハジメニ コトバ アリキ

 愛のコトバより創造されし僕らは
 愛の言葉を喋りたいようにできている

 宇宙を創造した
 主のコトバは僕らの身体に宿りて
 愛の言葉として
 僕らより再誕する日を
 待ちわびている






教室の天使

 「今日は一日自習にします」

 そう言って、神様は教室から出て行った

 僕は永遠の広がりを持った午後の教室に

 たったひとりで取り残された

 ひとりっきりの勉強はとても退屈だ

 神様が置いていったカリキュラムは多すぎて

 とてもこなせそうにない

 ふと気がつくと風に揺れるカーテンの後ろに

 神様が隠れていた

 誰も座っていない机の上に落ちた陽だまりに

 神様がにこにこと、笑っていた

 『机に向かって何を考え込んでいるんだい?

 さあ、ここにきて光となり、ともにまたたこう

 さあ、ここにきて風となり、ともに揺れよう

 さあ、一緒に遊ぼうよ 』

 僕は神様と一緒に共に遊んだ

 あまりの楽しさに気がつけば300年は経っていた

 その時がらがらとドアが開いて神様が入ってきた

 「自習をしろと言ったはずだ!なにを遊んでいる!!

  試験に落ちてもいいのか!?このオチこぼれの天使め!」

 僕は大慌てで、教科書にかじりついた

 そしてまたひとりぼっちになると・・・・

 やっぱりそこで神様が笑っている

 カーテンの後ろで

 机の上のひだまりで

 大きな地球儀の上で

 ちびた白墨の上で

 勉強なんてやめて、遊ぼうぜと

 時を越えた無垢さで微笑んでいる


20060627202435.jpg

 サラスヴァティー
 輝く大洋
 深淵
 命の源 母
 光る海よ

 水を飲んでいる時、後ろで
 弁財天が笑っている
 からだのなかで
 幾億の女神が光りながら
 微笑んでいる
 微笑みながら生かしている
 
 食器を洗う時にも
 トイレを使う時にも
 弁財天は手伝ってくれる

 噴水として輝き
 汚水として地下を流れ
 ファミレスのテーブルの上でぬるくなっていく
 
 命を保つために
 浄化のために
 彼女は巡る
 なくてはならないものだけど
 娯楽のために供され
 時には限りなく粗末に扱われる

 無限の愛
 もし地球上の水が一瞬にして消えたら
 僕たちはそれまでの彼女の愛に気がつくだろう

 おん そらそばていえい そわか
 月の尊霊
 水よ
 汝は神なり
 
 









夕暮れのサイクリング、何の意味もない永遠

 僕が世界の中を自転車、走らせる
 世界が僕の中で、自転車走らせている

 僕は世界だ
 世界は僕だ

 あらゆる喜びと悲しみが6月の夕暮れの風に乗って
 僕に吹き付けてくる

 そして

 なんにもない なんにもない
 やっぱりどこにもなにもない

 何の意味もない、なんと素晴らしい夕暮れ
 なんとおそろしい永遠の平和

 何の意味もない
 あなたにも わたしにも
 なんと素晴らしい なんとおそろしい

 何の意味もないあなたの姿は
 そのままで 永遠の模造となる

 何の意味もないことは
 無意味と言う事ではなく
 無意味と言う意味すらないんだ
 何の意味もないということは
 世界中の意味を集めたよりも
 もっともっと素晴らしい事で
 その中に永遠が顔を見せる

 すごいね 存在するって
 なんの意味もないんだから

 えーみなさん!

 まことにワイセツなことに
 永遠の悦びには
 なんの意味もないことが判明しました!

 さあ、
 アスファルトに横になり
 腹を抱えて気が狂ったように
 泣き笑いましょう!






(1)

回ると、酔う
酔うと、回る
回るは神の基本形

(2)

命のなつかしさを、僕は覚えているような気がする
命の根源へ帰ることを、死ぬほど怖れつつ
でも怖がらなくてもいい
すべての死は至福の
悦びだから

(3)

有限の命の僕らがここにいるということは
無限の命が存在すると言う事に違いない
無限の命が存在すると知る事は
僕らが無限の命となることであると思う

根源の命のあたたかさ なつかしさを
覚えている気がする・・・。

(4)

なにひとつとして 僕のものはない
みんなあなたのものです

みんな、みんなあなたのものです
それはなんて自由な気配だろう

肉体、それは32億才の命だ
いや、もっともっとかもしれない
肉体は Greate-Mother
久遠の愛 

僕の身体は与えられた
僕の時代は与えられた
僕の家族は与えられた

酸素 水 太陽 大地 海

すべて与えられた

水って何だ?
酸素って何だ?
太陽ってなんだ?

それがそれであるように
すべてはそのようにあるように
すべてはそのようにあらしめられた

水が水であるように
酸素が酸素であるように
太陽が太陽であるように
私が私であるように

わたしはあなたのものです
わたしがあなたのものになれば
それは空を飛ぶ鳥のように
それ以上に
きっと自由な事でしょう

それとも
最初から万物はあなたの胸に
抱かれていたのでしょうか





僕は魂

 僕達は確かに、間違いなく魂なのであるが
 自分は魂である、という観念が死ぬ時にこそ
 僕は魂として生まれる

 僕は魂であるという観念は
 自分は魂でないと知っている
 自我が描く幻想である

 脆弱すぎるリアリティー
 それよりも遥かにリアルな
 風の音と 車のエンジン音
 窓ガラスの揺れる音 
 僕の鼻毛

 本当に魂あるものはそんな世界の方が好きだ
 魂はことさらに 自分が魂であることを
 意識などしない
 無限の命の美を巡るだけだ
 
 僕が魂である時
 僕は無限の生命をしか見なかった
 僕が自我である時に
 僕は虚構の有限の生命を見て
 決して死なない魂などという
 観念を生んだ

 しかし決して死なない魂という観念は
 必ず死ぬ
 僕が本当に死ぬ時
 その観念は僕を少しでも
 助けてくれるだろうか

 僕は頭の中で
 僕以外の誰かの人間の死を
 自分の死だと思っていた
 そうやって自分が死ぬ事に目をそむけていたのだ

 しかし現実は違う
 まさに僕自身が死ななければならないのだ
 自分は魂だと思おうと
 自分は肉体だと思おうと
 どちらにしろ、死ぬ
 それは何よりの現実だ 

 この自覚の前に
 私は魂なのだという観念は生きていられない
 まさに 僕が 僕自身が死ぬ事を本当に知る時

 ギロチンの刃が落ちる瞬間
 電気椅子のボタンが押される瞬間
 心臓の鼓動が止まるまさにその瞬間

 そこに私は魂なのだという馬鹿馬鹿しい思考が
 生きていられる訳もない
 そして僕は、僕自身の、何の助けもない、
 むきだしの死を、死ぬ

 そして魂となるのだ
 観念ではなく、真の魂に
 無限の命の海を巡る魚に
 この海の水は、神の酒
 魚はすっかり酔っ払い 
 そして、恍惚となり
 死を恐れていた自我だった頃を忘れる
 
 きらきら きらきら 
 きらきら きらきら







 












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はいたか鳥

  • Author:はいたか鳥
  •  鳥が卵から無理に出ようとする
     卵は世界だ 
     生まれようとするものはひとつの世界を破壊せねばならない
     鳥は神に向かって飛んでいく
     その神は名をアプラクサスという




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