羊皮紙と虹


  嵐は遠い海上に去り

  夕暮れの空に虹がかかった

  濡れた梢から白い鳥が羽ばたき

  虹の橋をくぐってゆく

  遠い昔
  名も形ももたぬ世界で
  僕はこの世界を丸く映す
  小さな水滴だった

  蛇口から流れる水
  道路に連なる車のライト
  遺跡のように立ち並ぶビルを

  ただ何も知らずに映していた

  やがて旅が始まった

  すべてが見知ったものになってゆくとは
  なんて不思議なことなんだろう

  僕は屋根裏部屋で地図帳を開き
  いったいいくつの国や街の名を覚えてきただろう

  あなたの名を知り
  そしてあなたとの出会いを当たり前だと
  思うようになったのだろう

  あなたと出会った時も確かに空には虹がかかっていた

  今また虹をくぐる時

  心からすべての名は洗い流されて

  奇蹟があらわれた

  僕がなにひとつ知らなかった世界に 知らなかったあなたといるという奇蹟が

  天国で渡された羊皮紙の地図

  そこには 僕らが虹をくぐる場所だけがいくつも刻まれている

                                         
                                                        2015・9・16



        090719_1835~01
スポンサーサイト
詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/10/10 15:36

火蜥蜴かく語りき


  ラッサ ラッサ イーエーホー
  バリ バル バラ ハ バリ バル ホー
  ワム バム フーム ラム ダム フー
  
  炎はすみやかに 激しく
  燃える
  全宇宙の歴史を
  一瞬の燃焼のうちに語ろうとするかのように
  
  火はすべての記憶を
  知恵を持っている

  その膨大な叡智に
  この世のものは耐え切れず
  形態を焼き尽くされ 灰に帰る

  聴け 聴け 私の言葉を

  身振り手振りではどうにもならぬと
  火蜥蜴は千変万化姿を変える

  天に昇る竜となり
  火炎旋風となり
  炎の涙を流す聖母となる  
  鳳凰となり 明王となる
  牛となり 馬となり
  砂漠を歩むゾウムシとなる 

  ラッサ ラッサ イーエーホー
  ワム バム フーム ラム ダム フー

  はげしく せわしく 明滅する
  その光輝の内に 
  梃子の原理と 車輪の知恵と
  あらゆる物理学の公式を潜ませる

  文明はいくつも またいくつも
  火より生まれて 火に帰った
  
  千の文明と
  万の惑星の訓話をふまえつつ
  火蜥蜴は顔をゆがめ警告する

  私を業火へと変えるな 人よ

  私を破壊の炎とするな

  私がお前達に火をあずけた 太古の夜を 
  どうか 祝福させてくれ

カガリビ モチテ ウマレシ コトヲ ワスレタカ

  ラッサ ラッサ イーエーホー
  ワム バム フーム ラム ダム フー

  オマエノ ホノオデ オマエヲ ヤクカ

  オマエノ ホノオデ セカイヲ ヤクカ

  語り終えた 炎が 消え
  闇の帳が下りるとき
  始原の宇宙が 僕の部屋に広がった
  閉じたまぶたの裏側で
  火蜥蜴はいまだ語り続けている

  ラッサ ラッサ イーエーホー
  バリ バル バラ ハ バリ バル ホー
  ワム バム フーム ラム ダム フー

  オマエノ ホノオデ オマエヲ ヤクカ
  オマエノ ホノオデ セカイヲ  テラスカ  

  ラッサ ラッサ イーエーホー
  バリ バル バラ ハ バリ バル ホー
  ワム バム フーム ラム ダム フー



     150322_2243~01

                                     
    2015 the Vernal Equinox 

詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/03/29 09:27

星よりも笛を



                           星よりも笛を




  美しきものへ



 満天の星空のもとの野で
 笛を吹きそぞろ歩くものに出会った
 そのものが笛をこよなく愛するを知り
 僕は問いかけた
 主よ
 あなたはあの
 渦巻く銀河と 
 そしてあなたの笛と
 どちらを先におつくりになったのですか?
 そのものはやわらかな口元を笛から離すと答えた
 友よ
 私はこの笛を深く愛し
 いつも吹いている
 そのことからわかるであろう 
 私はこの笛を最初につくりあげ
 そののちに
 あの星々をつくりあげた
 あの星は私の調べのためにある
 そう言うと 
 彼はまた妙なる音色を奏で始めた
 僕は再び問うた
 主よ
 あなたは足元のバラと
 そして大地と
 どちらを先につくられたのですか
 彼は答えた
 私は大地や金剛石よりも早く
 バラをつくりあげた
 バラの愛が
 この大地を生み 金剛石で彩ったのだ
 と
 彼は僕を見つめて言葉をつないだ
 星よりも笛を 大地よりもバラを
 妙なるもの 美しきもの 小さきもの を
 まずはじめに
 わたしはつくる 人の子よ
 なによりもまずはじめに
 私は お前をつくる いとし子よ
 私達のいる 今を 最初につくりあげたのだ
 そして 私達のいるこの世界を
 笛や 戦や 夜明けや 林檎を
 ともに夢見ることにしたではないか
 友よ お前は笛だ 
 私のもっとも愛するものだ
 彼はそれだけ言うと
 再び笛を口に当て
 妙なる調べを奏でながら去っていった
 その調べが遠く去り
 銀河の静寂だけがしんしんと降り始めたとき
 時は一度も流れてはいないことを知った
 
                           
                                                    2015 3 2

                         

                
                    krishuna.jpg

詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/03/03 09:47

竜族の黒き影


 夜の夢の中で私達の黒き影を見るとき お前は思い出すだろう

 お前達 人間の中に 私達は今も生きている

 山々を揺るがすような体躯を持ち 水中を黒き影となり駆け抜ける

 私達を産んだ無限の生命力(いのち)は 今もお前達のうちに宿り こころを分け合っている

 私達はお前達とともに文明をも生きる お前達が小さな部屋で眠り 硬い皮膜に覆われた大地の上をよろめきながら歩くのを 私達はお前の内の暗がりからじっと息を潜めて見つめるだろう

 そしてお前達の心に原始の火を灯し 生命(いのち)の欲望を呼び起こすのだ

 ビル群の間に解き放たれた始祖鳥たち その群れがお前達の街を遥かに俯瞰して飛びぬける

 哀れな人類よ 兄弟よ お前達は お前達の街と 私達の野性の間に引きさかれている

 お前達は我々を恐るべき竜と呼ぶ
 
 しかし 友よ お前が恐れているものは おまえ自身の生命(いのち)であると知れ

 お前達はなぜか生命(いのち)そのものに恨みでも持つかのように 海洋を汚し 樹木を刈りつくした

 この惑星の生命力(いのち)を弱くしてきた

 そうして狭き箱の中に自らを閉じ込めた お前達は大きな竜が 大きな黒きなにものかが おまえたちの街を破壊するという幻想をとりつかれたかのように繰り返し持つようになった

 哀れなる兄弟よ

 お前達は何を欲しているのか理解していない

 お前達は欲しているものを恐れ また恐れるものを欲す

 欲せざるものを欲するふりをする

 そして欲するものを求める勇気がない

 ありのままの我々を恐れ みずからの生命力(いのち)を殺すのは お前達だけだ 友よ

 お前達の生命(いのち)からの離反が 私達の影への恐れを生んだ 竜なるもの 蛇なるもの 水に潜む大きな魚達への

 私達の目がお前達の中で開くとき お前は緑色の沼地の匂いを懐かしく思い出すだろう

 あのうだるような暑さと湿気 濃厚な大気 原始の惑星が持つ 圧倒的な赤い響きを なつかしく思うだろう

 夜明けの梢がささやくとき お前達はあたたかな寝床で思うのだ なんと遠くまで来てしまったことかと そしてこれからどこへ行くというのかと

 しかし 友よ 私達はいつもお前達とともにいる あの始祖のときの太陽と海は 今もここにあるのだ

 その中で生命力(いのち)のおもむくままに うなり 泳ぎ 喰らい 喰らわれていた生命(いのち)の躍動はお前のうちに宿るのだ 

 我が兄弟であり 友なるものたちよ 私達に帰れ 私達を思い出すのだ

 赤き太陽の元つながる いのちの輪の同士よ



                                                  2015 1 27
 
詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2015/01/29 10:33

WHITE ATLAS

                        

                           
                     WHITE ATLAS


 「メキシコ人が太平洋についてなんて言ったか知ってるかい?あの海には記憶がないってさ。僕はその記憶のない海のそばで人生を終えたいんだよ
                                   S・キング 「刑務所のリタ・ヘイワース」より



 すべての時空に名前はない
 いつも
 君だけの真っ白な地図を持て
 必要ならばどこでも好きなところに線を引けばいい
 君の引いたその線は
 大国と大国を隔て
 武装した兵士と艦隊により守られる
 国境線と全く同じだけの
 意味と無意味さを持つのだから

 世界中のすべての山に
 君の好きな名前をつければいい
 すべての生命に
 君がふさわしいと思う名を与えればいい
 
 かつてあの空に輝くものは
 ラーと呼ばれた
 そして今太陽と呼ばれる
 これからも無数の名で呼ばれるそれを

 君はなんと呼びたいだろうか?

 名もなき時空を生きる
 名もなき命よ
 君たちはすべて
 永遠の名もなき命より生まれて

 20世紀と名づけられた永遠の中で
 偽りの輝く地球儀の据えられた
 四角い机で学び
 それのぞれの愛を生きる道を選んだ

 そこには無数の国があった
 無数の主義主張と 
 哲学と宗教
 暦があった

 無数の国があり
 あらゆる場所に線が引かれていることに慣れた君は
 永遠と無限を忘れた

 だけどもすべては滅びていく

 すべての文明が過ぎ去った廃墟で
 君は今 たったひとりガレキに腰掛けて
 流れる銀河を見ている
 無数の国も暦も失われた世界で
 君は白き地図に涙を落とし
 失われた国々のために泣くだろうか?

 そしてすべては生まれてくる

 すべての文明が始まる前の海辺で
 貝を拾いながら
 昇る朝日を見つめているとき
 神が君に小さな嘘をついた
 
 「見よ この海と太陽を
 今日からすべてが始まる
 本日を紀元元年とせよ

 世界を巡り 地に満ちよ
 
 あらゆる河に 山脈に

 お前の名を刻め

 時を刻め 

 日を 月を

 朽ちぬ岩に刻むのだ

 お前に白紙の地図を与えよう
 
 さあ これを手に

 無限の時空を創造せよ」
 
 君は震える手で
 白き地図を受け取り
 情熱の赴くまま
 小船ににはった帆を広げ・・・
 そして
 再び
 記憶なき海に
 漕ぎ出すだろうか?


詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/10/20 21:43

天空の鳥女(とりめ)



                          天空の鳥女



天空の泉には時折
どこからか大きな魚がやってくる
古代の趣を残した魚が
青碧の水面を揺らして静かに通り過ぎる
泉を囲う岩陰の向こう側には
空が開け
遥かな下界を見下ろす大絶壁となっている
霞の下は巨大な原生林が広がっているようだ
泉の清さと魚達に目を奪われながら
僕は岩場を歩いた

絶壁の突端に立って
鳥と触れ合う女がいる
無数の鳥達が回りに集まり、さんざめく

彼女はただ無心に鳥達と戯れ
鳥達もまた無心に彼女を信頼しているようだ

若い二羽のつがいは彼女の両手の中で
躍るように 諍うように
愛を交わし 
彼女は目を細めてそれを見つめる

岩場で死んだように横たわる白い水鳥は
心をゆだねきって眠っていたのだ
折れた翼を休めるために

泉で十分に眠り とき満ちた
鳥達を
女は下界へと解き放つ
彼女の手から離れた鳥達は
重力に引かれるまま落ちていくが
やがて力強く翼を広げ
気流に乗って舞い上がる
潮風の匂いが彼らを呼ぶ

僕は鳥女に恋に落ちた
鳥のことをひとたび忘れさせ 
この岩場で
共に座り
魚達のうろこのきらめきを見たいと願った
そんな思いが通じたように鳥女は
振り返ると僕のほうに歩み寄ってきた
そのくちびるには微笑があったが
彼女の瞳は見えなかった

そうして戸惑う僕を軽々と抱き上げると
限りなく優しく
絶壁から投げ落としたのだ

落ちてゆきながら
僕は知った
あの天の水辺には人は彼女しかいないのだ
あそこであの鳥女は鳥だけを愛し生きているのだ
僕は彼女のふところで休んでいた
愛された一羽の鳥に過ぎなかったのだと

驚きと悲しみにふけるまもなく
その愛は
高みからおちてゆく僕の翼を力強く広げさせ
大森林の彼方 
潮風と曙光に向かって飛翔させた



2014 8 23
 words by haitaka
 


詩集2(火水の子供たち) | コメント(2) | トラックバック(0) | 2014/08/24 21:32

燃ゆる抜け殻


 炎暑に揺らめく森のなか

 青い葉の上に残された蝉の抜け殻

 つまみあげ覗き込むと

 その両目からはまぶしい光が放たれる

 遥か彼方の日輪が

 空洞の目に宿り 命を与えているのだ

 舞い飛び 鳴き 踊り 咲き誇る

 どんな夏の生命たちよりも 激しく

 動かぬ抜け殻は

 命の根源を映して

 ギラギラと目を光らせている

                 


 2014・8・5   words by haitaka



詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/08/08 00:03

母と歩いた道


                       母と歩いた道




 雨に濡れたアーケード街
 どこかでピエロが踊っている
 コーヒーの匂いがする
 オレンジの灯りがいくつも滲みながら
 揺れていた道

 真夏の駅の中
 むっとする人ごみと
 見知らぬ街の名を連呼する
 熱く焼けたホームのスピーカー
 の声を聞きながら
 僕は母のあとを追う

 水族館の中
 古代魚たちがゆっくりと泳ぐ
 暗い水槽の上にかかる道
 出口から明るい日差しが差し込んでいる
 
 遠い夏の浜辺へと続く
 白い道
 
 僕は
 手を引かれながら
 母と一緒にたくさんの道を歩いた

 いつの間に僕は母と歩かなくなったのだろう
 いつの間に僕はひとりで歩きたいと思うようになったのだろう
 

 母と歩いた道
 その道はどこへ向うわけでもなかった
 ただ太陽と蝶はいつも僕の周りを回って
 その時間は終わることなく無限だった

 それがそんなに特別な道だって
 幼い僕は知らなかった
 ただ光る雨粒と ピエロのシルエット
 コーヒーの匂い
 そして当然のような安心感を抱きながら

その道で拾った白い貝殻を
 僕の右手は今も握り締めている




Dec 2013 



words by Haikata For Mother's day

詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/05/14 23:09

4つの視点




 <父>の視点



 宇宙など無い 時間も空間も無い 私もない

 いわんや世界や社会など存在していない

 すべては実体なき幻影 <私>の戯れだ

 ただ<私>だけがある

 我関せず

 世界など知ったこっちゃない

 ほっとけ ほっとけ


fountain3.jpg


 
 <母の視点>

 9492159.jpg


 あなたはとてもすばらしい、大切な存在
 あなたの魂、こころ、肉体はとても大切なもの
 この惑星はすばらしい私の宝
 この大宇宙は壮大な私の神秘 
 すべての生命は私の相似形 フラクタル

 偉大なる大自然
 人と人の絆と、愛
 進化発展調和して光へと進む人類の意識

 あなたの人生はとても大切なもの
 あなたが想像しないような意味と祝福に満ちている

 私の創造した、光と闇の相対するこの宇宙を生きなさい
 私のつむぐ愛の物語を生きなさい
 私のマーヤにより学び、深まり、愛を知り
 そして<父>へと至るように

 私はいつもあなたを包み慈しんでいます。
 私はすべての存在の母 






 <メフィスト>の視点



 mero.jpg





 お前のことだけ考えてればいいのさ
 お前の思い通りにことは運んでゆくのさ
 じゃなきゃ、意味なくね?
 
 やっぱりお前が最高だよ
 ほかの奴らは馬鹿で醜くて意味ないよ
 お前のパワーを示し 思い知らせよ
  
 俺に奉仕せよ
 そうすれば富と知恵と 隠された世界の原理を教えよう
 人の注目を集めるカリスマにしてやろう
 この現象宇宙を操る秘密のシンボルと呪文を授けよう
 それはとても複雑だが努力して記憶するのだ

 俺はお前の恐れをエネルギーとして栄える
 この世界のゲートキーパー

 お前には神も他人も師も必要ない
 無限のパワーがお前には備わっている
  
 ただし、いいか、決して言っちゃいけない
 お前が実は、ほかの奴らや、神や自分自身を
 心底怖がってるってことを

 じゃなきゃ魔法が解けちまう




 <子(個)>の視点




 僕が「在る」こと、それだけが真実だ。

 誰が何を言おうが関係ない。

 僕はこうして在りのままの状態で、今・ここに在る。 

 存在によって、あらしめられている。

 僕はただ在りのままに生きて、死ぬ。

 僕はそのことを死ぬほど恐れている。

 僕は人が怖い 誰にも嫌われたくないんだ

 でっかい宇宙が怖い ひとりぼっちの闇が怖い 貯金残高が減るのがとっても怖い

 だが、それもいい。人は恐れて生きるものだから。

 高さだとか低さだとか、悟りだとか、もうどうでもいいんだ。

 神も仏もわからないものはわからないままでいいんだ。

 僕はただ好きなことをして、嫌いなものを退けて生きていくだけだ。

 僕は酒が好きだ タバコとコーヒーが好きだ 海と樹が好きだ
 

 僕がこうして在ることの中に 誰にも否定できない

 喜びと真実がある。

 de_hamburg_museum04.jpg


 img15b4d547zik7zj.jpg

buraxtukuzixyaxtuku.jpg



 おまけ<天使の視点>


 やっぱり愛よ^^

 みんなだーい好き!


 angelkiss.jpg



 
詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/03/09 15:13

光る花、透明な樹と魚たち

 その一部始終をどうするすべも持たず
 僕は見つめていた

 草むらを這う
 小さな芋虫は
 天に向かって祈るように
 からだを伸ばしたあと
 餌を求めていた蟻に食いつかれ
 もがきながら引きずられていった
 僕の庭は恐ろしい戦場なのだ 

 冬が訪れて枯れ果てる
 たくさんの草木たち
 そのすぐ傍らでは
 冬でも青々とした葉を
 しげらせる大樹が
 陽を浴び葉むらを虹色に
 光らせている

 滅びの季節にあっても
 変わらず生命を輝かせる
 命がある

 さらにその背後には
 誰もが名前を忘れてしまった
 透明な巨木が
 天をついてそびえている
 木は決して枯れることなく
 すべてを見つめている

 難病の少女が初夏の午後に
 ふとカーテンを開けたとき
 灰色の摩天楼と
 湾岸ブリッジの彼方に
 その巨木はそびえていた

 故郷に帰れなかった兵士たちが 
 塹壕の中で息絶えるとき
 彼らのかんばせに涼しい影を落としたのは
 透明な巨木の梢だった

 そして木を垣間見たものたちが
 すべて過ぎ去っても
 巨木はすべての背後にそびえ
 葉むらを輝かせている・・・

 多くの命たちの
 喰い合いという共生の中で
 肥えた土壌からは
 小さな芽が出て
 茎が伸び 葉が広がる
 その先端には
 白い花が開いていた

 白い花
 そこはくいあう命たちの
 悲鳴と痛みが響きあう
 土壌の終結点だった

 花は聖なる響きとともに
 かすかにやわらかく
 光っていた
 花の先にはもうなにもない
 虚空を蜜蜂たちが
 うなりながら舞っている

 大地という命の戦場の
 果てには
 至福が虚空の中で
 光を放っていた

 透明な樹はすべての花々をいだき
 それらを静かに見つめていた

 透明な樹の沈黙と
 光る花の響きゆえに

 僕は命を祝福しよう

                               

                                    2013 2 3


詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2014/02/04 10:57

冬至の午後


今日は晴れていて雲ひとつない
2013年 冬至の午後
地球がまた光へ向って旅立つ日

窓の外には見慣れたいつもの樹が
梢を風に揺らしている

じっと見ていると、彼も僕を見つめ返しているようだ

君とこうして見つめ合っている今
すべてはこのためにあったのかもしれない

5年前の僕には 青空を背にゆれる君が誰なのか
この風景がどこなのか わからないだろう

すべてはこのために
この今のために

名もなき今

青空を背に梢を揺らす君
それはありふれた光景

でも

あの日の夜に泣いたことも
一人夜明けに旅立ったことも
すべてのことの結果として 今 ここに
僕と君がいる

君の後ろの青空のスクリーンには
もっと大きな悲劇や すべての世界のドラマも
薄く薄く 
淡く淡く
幾重にも重なって映し出されていたんだね 

君はそんな遥かな時空のドラマを背に立って
僕の考えの及びもつかない
遠い過去からの風に揺れている

その風の中に聴こえる

破裂する核の轟音が

どこかの祝祭の夜の楽の音が

白亜の海の岩礁を越えて届く
波の音が

2013年 12月の冬至に
僕と君が見つめあう
今のために

そして僕らは種になる

誰かと誰かが見つめあい
その奇蹟を感じる 
そんないつかの花咲く明日のために

晴れわたった冬至
雲ひとつない青空
2013年 12月の 
日曜日

地球は光へとまた旅立った


                                    2013 12 22




詩集2(火水の子供たち) | コメント(2) | トラックバック(0) | 2014/01/11 11:30

太陽の道

 朝太陽が昇るとき
 森には光の道ができる

 クモたちがはりめぐらせた糸や
 草の上の朝露が虹色にきらめく

 いのちの道に従う
 あらゆる生命の師たちが
 僕の胸の中にいる

 彼らも僕と同じ弱さを持っていたのかもしれない
 その彼らもまた胸の中の生命の師たちに導かれ
 そのようになった

 そうならば僕の顔も少しづつ
 彼らと似てくることを
 予感してもいいだろうか

 あらゆる形象を越えて
 命だけが輝いている

 彼らのように
 一万年前の森の民のように
 静かなるおそれとともに
 僕はその太陽の道に足を踏み入れる



                               2013 11 19

131119_0640~01

                               


words & photo by haitaka




詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/12/02 20:23

命の斥候




命の斥候




 霧に包まれた小高き丘
 私は私の鷹とともに立つ
 何一つ音とて聞こえぬ
 この名もなき荒野の丘に
 
 霧が晴れても希望は見えぬ
 その彼方に少しづつあらわになるのは
 黒き水に浸され沈んだ都市

 あの都市が
 私が生まれた懐かしきふるさとだったのか
 あるいは足を痛めながら厳しい寒さの幾夜を
 かの地を目指し歩き続けた
 約束の土地であったのか
 それすらもうおぼつかぬ 

 私にわかるのは
 街はもう死に絶えているということだけだ

 その沈んだ廃墟を見下ろす霧の丘に
 私はただ立っている
 何度も何度も鷹を街へと飛ばしたが
 命ある知らせは戻らなかった

 そして丘での果て無き夜営は
 幾夜も続く
 その焚き火の炎のみが
 友の鋭い瞳に映りこんだ

 力なく鳴くお前よ 友よ
 お前ももう深き傷を負っているようだ
 もうあの街へは飛ばなくてもよい 

 私のただひとりの道連れであり、希望よ
 しかしもうひとたびだけ 行ってくれるか
 夜明けとともにお前をもう一度 空へと放つ

 鷹よ 遠く高く舞い上がり
 死に絶えた廃墟の塔をも越えて
 いざ
 命の泡立つ海を目指せ
 
 幾重にも続く石の回廊をくぐりぬけて
 こんじきの夜明けより
 かぐわしい花の一輪をくわえて戻れ
 
 私のたどりし旅の道を眼下に俯瞰し
 路傍に私が落とし忘れた
 喜びと苦しみの涙をも拾い上げて
 時をひるがえれ

 友よ
 お前のいない夜を
 私はこの名もなき丘で明かそう
 さあ 早く戻って来い
 鷹よ 生命の斥候よ
 私の生きる証を携えて
 はじけるような羽音と太陽と共に
 この腕に戻れ

                       

                            May 2013
 words by Haitaka

 
詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/11/20 04:07

浸潤



「たぶん君自身になるってことは 泣き叫ぶ嵐の中に、君ひとりいるってことだ、そのとき君が求めるすべては人の焚き火に手をかざすことだけ・・・」 

                  ブエブロインディアンの言葉「今日は死ぬのに持ってこいの日」より





 もうわかってきただろう
 自分の人生について文句を言える相手なんて
 どこにも存在しないんだ

 そしてそれは、とてもいいことだって言うことを

 自分の生死についてクレームをつけるカスタマーサポートなんてない

 親に 教師に 社会に
 責任を押し付けどれくらい罵声を浴びせても
 
 僕は 僕の生を生き 死を
 死ぬ

 この時空間に生きているということ
 そのはかない絶対性こそが
 唯一確かな「今」だ

 この時空間について嘆くのも 期待するのも
 ちょっとマッタ

 自分が楽園に生まれたハチドリなのか
 家畜小屋に生まれた豚さんなのか
 それすら僕はわからない

 なぜなら僕が受けた教育 教え込まれた常識 すべてがこの時空間の産物であり
 未来の歴史学者に笑いものにされるくらいのものかもしれない

 うすうすそうとは思いつつ
 それでも僕らはけなげに この時空の「知」を崇めながら生きる

 私は知っているという傲慢さも この今のはやりだから

 全部ウソだって思うこともあるけど
 僕が多分本当だと思うことは
 この今が楽園であろうと 地獄であろうと 審判を控えた煉獄であろうと

 あらゆる時を住処として あらゆる時空に水のように染み入る
 大いなる意識の意志として 僕はここにいること
 僕らはその水滴の 一粒 一粒
 
 このとき この今が 僕らの思ってるものであろうとなかろうと
 僕らの未来が 僕らの望むものであろうとなかろうと
 大いなる僕らはこのときを住処とすることを選んだ

 雨粒が 畑の土にも 屋根瓦の上にも アスファルトの上にも
 場所を選ばず降り注ぎ 流れ落ちて 地上の埃を洗い流すように

 僕はこの時空に浸潤する

 かつてたくさんのしずくたちが
 ユダヤ人狩りの黒い霧がたなびく欧州の街や
 灼熱のヒロシマをも住処として染み込んでいったように

 恐れを知らぬ無限の愛と情熱を持って
 
 その愛を身内に感じながら
 僕らはこの時空間における 自分自身の生死と向き合う

 私は知っているというものに 騙されるな
 彼らはあなたの生死になんの責任もとりはしない
 誰だって、そんなことはできないんだ

 自分自身になるってことは、

 君自身になるってことは 泣き叫ぶ嵐の中に、君ひとりいるってことだ

 真っ暗な嵐がゴウゴウ吹いている場所に立つってこと
 そこで初めて 小さな光が 自分自身の小さな命の光が見えてくる

 なにもわからなくたっていい

 その光が
 無限の愛と情熱を持って
 僕が
 この時空に生きて 死ぬことを選んだのだから

 

                         
                                       2013 Oct



詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/11/12 15:41

知恵のスペクトル 


 今日もまた生まれたての新しい太陽
 ぬくもりの中目を閉じると
 アンモナイトたちを包み込んだ
 光の記憶がある
 いつも生まれた時から僕とともにあった
 この光はなんだろう?

 遥か彼方で発生する
 核融合の熱とひかりだという
 でも絶え間なく爆発し続ける原子爆弾よりも
 こんなに暖かく 命そのものであるようだ
 
 いつも僕を照らすこの光と
 空に大きく輝くあの存在の意味を
 僕はいつでも知らない気がする
  
 太陽って?
 地球って?
 水って?

 光って何?

 科学の言葉でわかった気になっても 実は何も知らない

 宗教の言葉で崇拝しても それが本当かわからない

 地面が割れて火噴き上げ 大地が海に沈んだり
 海底が突然山脈になったり  

 太陽が光を送るのをたった一日休んでも

 僕らは何もわからなくなり ただおろおろするだけだとわかっているのに

 これがいつまでも続くのが当たり前とばかりに
 暖房の効いた部屋で新聞やテレビに文句を言ったり
 海底や地下の資源を取り合ったり
 大地に勝手に値をつけて 売ったり買ったりして

 あの大空に光る大きなもののことも
 僕らを腹の上で養うおおきな老女のことも
 なんだかわかった気でいる 

 焚き火を前にして古代人たちが見ている
 目をこすったり 笑ったり
 どこまでも立ち並ぶ摩天楼の山並み
 火を吹く鉄の鳥たちを
 それは炎の中に現れた 幻影だ
 それよりも 踊ろう 踊ろう
 輪になって と誰かが手を差し伸べる
 

 幻影のメトロポリスの地下を走るサブウェイの中で
 シガレットとコーヒーの匂いとともに発展・進化してきた
 知恵のスペクトル

 窓ガラスにかざしてみると
 その両端は輝きの中へ消えて
 僕らにその光という命の意味を問いかける

 目がくらむような畏れと
 無知の安らぎの中で
 焚き火を前に
 僕は古代人たちと手をとって炎を回りながら
 知恵の『輪』を完結させるだろう


                                   2 17 2013


詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/02/17 23:54

水の旅人~天河大弁才天へ~


 高い山の中を流れる渓流はきれい
 降ったばかりの雨を集めた流れは
 穢れなどつゆ知らず
 無垢で楽しげな歌をくちずさみ
 春の花びらと
 戯れながらながれゆく

 生まれたばかりの水の子供たち
 
 しかしふるさとを離れ
 山を下るにつれ
 流れは少しづつ淀み
 濁ってゆく

 人間が投げ入れるゴミ
 動物たちの死骸
 少女の流した悲しみの涙
 
 そんなものも黙って飲み込んで
 川はさらに流れていく

 もう無垢な渓流は消えうせ
 濁った流れはいくらか不機嫌に呟きつつ
 流れているように見える

 さながら黙々と日々の勤めに従事する
 人のように
 コンクリートに囲まれて

 やがて河は徐々に太く
 水かさも増え
 平野をうねるように流れる
 大河となる
 それはもう不機嫌には見えない

 悲しみも 喜びも
 うつくしいものも
 醜いものも
 その中に受け入れて来た河は
 慈悲深く
 淀みの内にも多くの命を養いつつ
 威風堂々 流れゆく

 人は時に河を恐れ憎んだ
 ある夏の日に 無慈悲にも
 子らの命を飲み込んだ河を

 しかし
 その同じ河の恵みにより人は生かされ
 やがて月日がめぐると
 同じ河のみなもで
 新しい子供たちが
 まぶしい夏のひと時を過ごす

 人はこの大きな河を 畏れ
 また愛した
 
 河は微笑を浮かべ流れつつ
 知っていた
 やがて流れは海へと消えていくことを
 河はそれも知り 微笑んでいた
 河は死を恐れていなかった

 なぜなら

 私は自らその威光を誇る
 大河になるため生まれた訳ではない
 私はこの大地をすべてを潤すために
 天地を巡っている
 今私はそのことを知っている

 行き着く場所も
 帰る場所もありはしない
 私はすべての命を潤すために
 流れ続ける
 
 私はやがて大いなる源へ還る
 そしていつかまた雨となって
 あのふるさとの山へと
 降り注ごう

 もう一度
 何も知らぬ無垢な流れとなり
 もう一度
 濁ることの悲しみも知り
 もう一度
 すべてを受け入れて
 大きな流れとなり人々を潤そう

 私はめぐる
 私はただめぐるのだ

 ワタシハ 愛の ナガレデアリ

 愛とは 天地の メグリデアル

 ワタシハ 天地の尽きる時まで

 メグリ続ける 命である


 遠くから汽船の音と カモメの鳴き声が聴こえてくる

 大いなる輝きが私を呼んでいる


                         
                              2008 Aug 天河弁財天参拝後に

詩集2(火水の子供たち) | コメント(2) | トラックバック(0) | 2013/02/09 23:58

天使のおうち

 天使はいったいどこから僕らを見守り
 そして願いに答えてくれるんでしょう?

 空の上?

 どうしてどこにいても僕らの声は届くんでしょう?

 それは天使たちの家は 愛だから なんです

 愛というレンガででき
 よろこびという屋根をいだいた 
 光る家だからなんです

 愛 それは 人間の抱くただの感情じゃなくて

 時空を越えた 彼らの家
 僕らの故郷
 原子のなかの不滅の国さ

 だから僕らがどこにいても 彼らは僕らをつかまえる
 天使たちは お空の上じゃなく
 愛という「場所」から世界を見守っている

 天使から隠れることなんて出来ないよ

 だって僕らは愛から生まれたんだから

 彼らは つまり 僕ら自身なんだから

 だから君が何かに少しでも愛を感じるとき

 君は天使の家にいるんだよ

 ただいまの言葉は

 ありがとう そして 愛しています

 Dear angels, I'm home now!

                   
                                    2012 12 31



     angelkiss.jpg
詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/01/12 21:27

Fragment to myself 2009


送信履歴に残っていた、大分前に携帯にメモった文章。
 どういう状況で思いついたのか、いまいち覚えてないけど・・・。
書いてたのが朝の五時とかだったw



 2009 2 8

 この世界に在ること・・・
 それらはすべて白か黒かで割り切れるもんじゃないんだ
 誰の人生の中にも否定できない愛のエッセンスが染み込んでいる
 そしてインチキ臭い部分、闇に染まった部分もある
 白か黒かじゃないんだ
 総体として 人間をどちらかに統一されたものと見ることから
 狭い世界が生まれる

 あなたが光だと思いたがっているもののうちにも光があるし 
 また闇がある
 あなたが闇と思いたがっているものの中にも光がある

 みんなそれを認めるのが怖いんだ
 犯罪者のこころにも美しい愛の記憶が
 それを感受するこころがあることを

 だからすべてから距離を置き
 すべてを包み込みなさい
 真実はあなたの内に見つけるものだ

 あなたが愛になればいい
 あなたは自分が愛じゃないんじゃないかなんて
 悩まなくてもいい

 何がホンモノかなんて
 浅ましいことは考えなくてもいい

 本物か偽物かは
 そんなレッテルは
 ただこっちの都合だ

 夜明けに鳴く鳩の声はずっと昔から
 君に真実を語っていた


2009 3 6

 失われた自己を求めて
 僕は歩いていく
 僕は出来合いの いろんなものを求めようとした
 失われた僕自身の代わりに
 外側から語りかけるたくさんの言葉に耳を澄ますとき
 僕は僕自身の未来と 僕自身の日々と 僕自身の愛と
 僕自身の青い夜明けを失った
 この世界を見限った振りをしながらも
 この世界に未練げな目を向ける僕は
 終りを夢見た
 それもまた失われた自分の代わりに
 僕の手が掴み取った 偽りの希望でしかなかった
 または大それた神々の戯れに目を向けるということで
 失われた僕自身の代わりに
 巨大な虚像をつかもつとした

 ・・・でも、そんなものは、もう、いいんだ

 僕にとって必要なのは
 出来合いの未来や 偽りの愛や 大きな虚像なんかじゃない

 小さくてもかまわない
 僕自身の姿
 僕自身の愛や希望の形だ

 

 
 2009 12 3


 その状況を自分自身の一部として
 受け入れ 愛したものが
 その状況の救世主となる
 
 そして逆説的だが
 自分自身を救い主と思わぬことが
 それを癒すコツである

 なぜならそれは自分自身の一部に他ならないからであり
 そのことを認めず 外的な悪のみを設定すると
 ただ自分が『してあげている者』となるからだ

 そうではない
 僕の見ているものは僕の意識とのシンクロなしには
 存在しえず
 そこに見出した問題は
 僕の意識の中のひっかかりが外面化したものでしかない
 それゆえにそれを外側の問題として
 退け続けるなら
 いつまで経っても自己の意識内部のしこりに気づくことが
 できない
 
 そうすると、外的にはその状況に対して
 善と思われることをなしていても
 それを自分自身として受け入れていないなら
 意識の中で
 自分が一方的な善行者とならざるを得ない

 それは自分の意識の現れとして
 その現実に遭遇しているという意識の不在である

 現象が自分自身の意識のほつれの現れであり
 それは自分がそれを超えるために
 招き寄せ遭遇しているとするならば
 それを受け入れ 愛し 感謝することもできる
 なぜならその現象のおかげで
 それにひっかかる自己の意識を自覚出来るからだ
 そして意識することによりそれから解放され 救われる

 そのような意味において
 その状況に対して愛や感謝を
 つまり物事を改善するエネルギーを注げるのは
 その状況により救われていることに気づいている
 人間なのである




詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2012/12/20 20:37

Moment to moment


父と母が交わっている夢を見た
 そのようにして創られたこの朝がある

 今朝は窓の外の畑一面に霜が降りて
 昇ってきた朝日がそれを輝かせている

 幼い時、父母が仕事に出かける時のガレージの
 排気ガスの匂い
 当たり前の目の前の世界に
 心を開き 愛していた頃があった

 今、目の前にあるものを深く愛すること
 今、聴こえてくるもの、感じるもの
 僕がいるここを深く愛すこと
 それは本当に近く、僕のまつげ越しに見える白い天井
 その距離を

 そこが神のいる場所

 いつも僕らはそこから旅に出て 何兆マイルも離れてしまう
 マインドの果て無き探索行為
 でも本当はどこにも行っていない

 今に抱かれて悩むのか
 今に抱かれて安らぐのか その違いだけ

 Moment to moment

  今日もまた、今までにない全く新しい一日であるという『恐ろしさ』を前に

 今、目に映るものを愛すること
 すべてが目に映ることを愛すること

 今日、与えられた一日を愛すること

 生命の扉はそこにある


                             2012・12・5

詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2012/12/05 23:16

ジャスミンが言った

 <1日目>

 草原にジャスミンの花が咲いていた
 さわやかな5月の木陰の匂いを放ち
 僕は両手をあげて精霊たちにあいさつをした
 ジャスミンがとても好きなのだ
 どうすればもっと仲良くなれるかと
 花々の周りを歩いてまわり始めた
 ジャスミンはなんて言っている?
 風に揺れる花が踊るように見えて
 こう言ってるようだ

 踊ろう 踊ろう 私たちと一緒に踊ろうよ

 え 今? 今踊るの?

 今 踊らなくて いつ踊るの?
 なぜ今踊っちゃいけないの?

 えーと 僕は大人だし それに今日は仕事前だし
 いろいろ気になることもあるんだ

 それに こんなところで一人踊ってたら
 春になっておかしくなった人だと思われるし

 じゃあ、ずっと踊らないの?
 その気がかりはいつなくなるの?
 誰も見てる人がいないところじゃないと踊れないの?
 力いっぱい喜べないの?

 今、今、今、喜ぶのは今しかないんだよ
 
 気づかないの?みんな踊っているじゃない
 太陽も、木も あなたの体の細胞も
 楽しんでるでしょ

 ジャスミンのメッセージは単純すぎておどろくほど
 それは

 今、全てを捨てて 踊ること

 踊ろう 踊ろう 私たちと一緒に踊ろうよ
 どうして今じゃダメなの
 喜ぶのは今しかないんだよ


 <二日目>


 今朝 公園に行くとジャスミンがまた誘ってきたので
 僕はびくびくとしながらその周りでスキップをして
 腕をあげたりおろしたりして回ってみた
 
 まだまだ もっともっと よろこんで
 もっともっと楽しんで 笑って

 自由に 自由に どうしたら君たちのように
 何も気にせず 人目も気にせず 踊れるんだろう

 そしてどうして僕は誰かに見られることを
 こんなに怖がっているんだろう
 何も悪いことはしていない

 ただ太陽の下で 花々のまわりで
 よろこびをからだ全体で精一杯表現したいだけなんだ

 この世界で まったく誰に見られるかも気にせず
 思い切り歌ったり 踊ったり 叫べる場所ってどこだろう?

 いや そんな無人島みたいな場所はなくったって
 本当は僕が他者から自由であれば
 どこでも限りなく自由でいられるはずなんだ

 一人でいる時さえ こんな姿誰かに見られたらどうかとか
 無様なことを自分はしてるんじゃないかとか
 自分で自分を裁いてる
 そう、他者の目を通じて 自分を縛るのは
 僕自身の意識なんだ

 僕は自分の目から自由になりたいんだ

 完全主観
 
 至りたいのはそんな無人島だ
 ジャスミンたちも 太陽も 魚も
 そんなパラダイスでよろこびを踊っている


ジャス~2

 April 2012




詩集2(火水の子供たち) | コメント(2) | トラックバック(0) | 2012/08/07 15:30
 | HOME | Next »