2011.
02.
27
食屍鬼の幻影
洞窟の中
杯を手にした半裸の男が
こっちを見て
笑っている
片方の手を女の腰に回して
彼らの背後には無数のどくろが積み上げられている
何も恐れるものなどない妖鬼
畏れを知らぬ哀れな いとしき生き物
幾千年も彼はその岩窟で宴を続ける
誰も彼を止められるものはなく
彼の笑いは無明に響き続けた
それはいかにもイノセントな魔人であった
遠くの空でとどろく雷鳴
そしてすべては裁かれる
そしてすべては
許される
やがて幾百年ののちには
この谷間にもやわらかなたんぽぽの綿毛がいくつも舞う
2000年
洞窟の中
杯を手にした半裸の男が
こっちを見て
笑っている
片方の手を女の腰に回して
彼らの背後には無数のどくろが積み上げられている
何も恐れるものなどない妖鬼
畏れを知らぬ哀れな いとしき生き物
幾千年も彼はその岩窟で宴を続ける
誰も彼を止められるものはなく
彼の笑いは無明に響き続けた
それはいかにもイノセントな魔人であった
遠くの空でとどろく雷鳴
そしてすべては裁かれる
そしてすべては
許される
やがて幾百年ののちには
この谷間にもやわらかなたんぽぽの綿毛がいくつも舞う
2000年
2011.
02.
27
不思議なおとぎ話
その日の真夜中
眠りに落ちた僕の耳元で誰かが
『死』と囁いた
そこで僕は一晩中眠りながら
そのことについて考える破目になった
それは不思議なものだった
僕はいまいる
そしていつかいなくなる
それを人は嘆く
しかしいなくなることは
苦痛ではなく 不思議なだけだ
他の誰でもなく
この僕がいなくなるとはどいうことか?
どこかの鳩舎で鳩が街に降りしきる
春の雨を見ているに違いない
こんな朝に誰かがいて誰かがいない
でも鳩は誰かがいなくなった同じ景色を
見続けている
「死」というもの 呼ばれるもの
それは始まりも終わりもない塔で生まれた
住人同士が暗い踊り場で囁きあう
不思議なおとぎ話だ
1999

その日の真夜中
眠りに落ちた僕の耳元で誰かが
『死』と囁いた
そこで僕は一晩中眠りながら
そのことについて考える破目になった
それは不思議なものだった
僕はいまいる
そしていつかいなくなる
それを人は嘆く
しかしいなくなることは
苦痛ではなく 不思議なだけだ
他の誰でもなく
この僕がいなくなるとはどいうことか?
どこかの鳩舎で鳩が街に降りしきる
春の雨を見ているに違いない
こんな朝に誰かがいて誰かがいない
でも鳩は誰かがいなくなった同じ景色を
見続けている
「死」というもの 呼ばれるもの
それは始まりも終わりもない塔で生まれた
住人同士が暗い踊り場で囁きあう
不思議なおとぎ話だ
1999

2011.
02.
25
熱帯魚
水槽のガラスは外部の映像や音を歪ませる
熱帯魚はゆっくりと泡を吐いていた
ガラスの向こうでは黄砂に覆われた空に近い部屋で 夕陽を浴びながら家族が穀物や肉を咀嚼している
新聞には魔術めいた象形文字で遠い大陸で火山が噴火したと報じられている
大人たちはそれをすぐに記号的情報に変換する
子供たちは神話的な山から赤い流れが 神話的な街の大通りに荒れ狂うのを見る
こぼれたミルクが印刷されたばかりの活字を滲ませる
熱帯魚はどこも見てはいなかった
ただ彼の世界の底でゆっくりと 確実に泡を吐き続けている
話し声、時折の怒声、波の音
ブラウン管には青く豊かにうねる大洋が映っている
熱帯魚は何も聞かない 郷愁も感じない
直方体に切り取られた大洋を蛍光灯は白々と照らし
熱帯魚はただ静かに息づいている
やがて明かりが消えた
しばらくすると水槽のあるキッチンに
泣きじゃくる赤ん坊を抱いた母親が入ってくる
母親は電気もつけず 淡い光の中を踊るように
子供をあやし始める
子供がようやく泣き止むと 彼女は冷蔵庫からアルミ缶に入った飲み物を取り出し
乾いた唇を湿らせた
赤ん坊は眠ったわけではなかった
彼の瞳に冷蔵庫の明かりが映し出されていた
彼はその光の世界を不思議そうにいつまでも見つめている
彼は草の匂いの濃い初夏の夜にはじっとしていられない大人になる
何かとてつもなく美しいものが 自分のすぐ近くに隠れているように思うからだ
夜半過ぎに足音をしのばせ 家中の引き出しの中身を確かめるようになるだろう
しかし今、彼は眠気にあっさりと身を委ねて
母の胸に頬を寄せる
遠くで打ち上げられた花火が母親の白い顔にかすかに映えた
熱帯魚はゆっくりと泡を吐いていた
そして
世界は理由もなく突然終わる
わたしたちが 毎日無数の宇宙を破壊しているとするならば 私たちの宇宙が一秒後に破壊されることに
誰も抗議は出来ない
しかし熱帯魚はいた
何も起こらなかったかのように
暗闇の 無の底辺で黙って泡を吐いていた
彼はカタストロフィーのわけも知らず
世界が終わったことも知らない
彼はただ同じように息づき 泡を吐いていた
だからこうも言える
この魚が宇宙全体を夢みていたのかもしれない、と
何も見ず
何も聞かず
何も愛さず また理解もしないものが
すべての豊かさの源になれればの話であるが
熱帯魚は宇宙が再び始まるのを
待っては、いない
そこに息づき鈍重なまでの規則正しさで
泡を吐き続けるだけだ
そして奇妙なことに
準備は、出来ていた
母を 父を 子供を
遠い大陸から運ばれてきた黄砂の下の
不思議な日々の営みを
ガラスの檻を
受け入れる準備は出来ていた
熱帯魚はやがておもむろに浮上する
季節と星は巡り始め
人は生と死を再開する
水面はまったく新しい太陽で輝いている
世界はいつも理由なく
一秒前に始まるのだ
1999・7・14
2011.
02.
21
フルーツ・クロックの時
もう覚えていない遠い昔
フルーツクロックが時を刻んでいた頃
いくつもの雪の降る午後と 緑の夏を越えて
僕は大人になった
戸棚の影で眠る酒
夜中に目が覚めたときにだけその意味を明かす
不思議な絵
その中で運命が僕に呼びかけた
すべてのものの重厚な匂いの中で
僕はペンを手に何通も手紙を書いた
イルカの夜と アシカの夜明けに抱かれて
水がしたたりおちる レンガのトンネルを抜けると
そこには風に光る野があらわれ
オルガンの音と 賛美歌が流れていた
帰ってきたとき
家は静か
壁で微笑むなつかしい死者たちの写真
通りにはただ太陽と家々の影
それはフルーツクロックが回す時だった
時計はまだフルーツから出来ていて
祭りの日には母親がナイフを入れ
皿に取り分けて
みんなでゆっくり食べた
フルーツクロックの時がいつ終わったのか
僕は覚えてはいない
ブランコの上の雪が溶ける頃
僕は遠い街へと旅立った
それから大きな戦争と 活版機の大躍進があった
いつのまにか終わったフルーツクロックの時を
今でも僕はなつかしく覚えている
そして思うのだ
いくつもの雪の降る午後と 緑の夏を越えて
僕は大人になりたかった、と
1998
2011.
02.
17
太陽風の岸辺で
熱核兵器のぬくもりがいまだ残る鉄壁の影を過ぎ
干上がった海辺にたどり着く
海と僕たちの間を隔てる金網に
風が吹きぬける
誰も僕らが行くべき場所を告げなくなっても
体内の力は僕たちを駆り立て
いくつかの謎を解くために
目的地のない旅へと導いた
ソーラーシステムは機能し続け
僕らは陽炎の道をゆく
惑星たちを運行させるのと同じ力が
僕らを前に進ませる
金網に実る 塩の結晶
僕らは頬を寄せ合いそれを覗き込み
色彩の乱舞に我を忘れた
塩は結晶になることを望みはしない
海中はとても安らかで
一方太陽と風は痛すぎる
宇宙の諸力にさらされ
固まり 輝くのは 厳しい
例え七色を手に入れるためでも
しおれかけた観葉植物が歓迎する無人のホテルで
焚き火を囲みながら
互いに謎を掛け合い 壁に映る僕らの巨大な影に身震いする
僕らはいったい何ものなんだ?
はしゃぎ声が大きな夜に反響する
そんないくつもの夜々の果て
干上がった海辺にたどり着く
金網に手をかけ 顔に熱風を受けながら僕たちは待つ
僕らが純粋な命になるのを
塩は僕らのこころの虚空で宝石のようにきらめき
太陽風は地球と言う岸辺を侵食し続けていた
2000年

2011.
02.
15
宇宙天気情報センターより 転載
2011/ 2/15 13:17 更新
X2.2の大規模フレアが発生しました。地球方向にCMEも激しく噴き出しています。
担当 篠原
今日、2月15日10時半(世界時15日1時半)、活発な活動を続けていた1158黒点群で、
X2.2の大規模フレアが発生しました。
Xクラスのフレアは、2006年12月以来、4年ぶりのことです。
先ほどまで、昨夜発生したM2.2フレアを主題に原稿を準備していたのですが、
全部吹っ飛んでしまった感じです。
学校の関係で更新が遅くなっていますので、
手短に報告します(と思ってましたが、長くなりました)。
1158黒点群は、昨日の午後、14日13時(世界時14日4時)以降、一段と活動が強まり、
C 8.3、C6.6、C9.4、C7.0とCクラス後半のフレアを頻発させました。
そして、15日2時半(世界時14日17時半)に、M2.2と2つめの中規模フレアを起こしたのです。
その後も、C6.6、やや弱まってC2.7、C2.7と小規模フレアを起こし続け、
つい先ほど、X2.2の大規模フレアの発生となりました
X2.2の大規模フレアによるCMEは、太陽のほぼ中心で発生していることから、
地球へ確実にやって来るでしょう。
どのくらいの速度でやって来るのか、
かなりの高速であれば2日後には地球に到達する可能性もあります。
STEREOやSOHOの写真がそろうと、様子も分かってくるかもしれません。
これから4日間くらいは大いにデータに注目してください。
先週の週末くらいから、太陽活動系か?という感じの意識への影響を少し感じていたけど、ここに来てX級の爆発がいきなり起こったので驚いた。いよいよ太陽活動も本気出して来たのだろうか。
エジプトでの革命がムバラク大統領を圧倒し、辞任に追い込んだのが2月11日(金)。中東での民衆の蜂起はイランにまでも伝播するのではと今度は言われている。やっぱり太陽と集合意識はリンクしている。
強烈なエネルギーがやってくる時はテンパりがちだけど、こういときこそゆるーい感じで行きたいものだウト゚+。(o´ェ`o)。+゚ウト
2011/ 2/15 13:17 更新
X2.2の大規模フレアが発生しました。地球方向にCMEも激しく噴き出しています。
担当 篠原
今日、2月15日10時半(世界時15日1時半)、活発な活動を続けていた1158黒点群で、
X2.2の大規模フレアが発生しました。
Xクラスのフレアは、2006年12月以来、4年ぶりのことです。
先ほどまで、昨夜発生したM2.2フレアを主題に原稿を準備していたのですが、
全部吹っ飛んでしまった感じです。
学校の関係で更新が遅くなっていますので、
手短に報告します(と思ってましたが、長くなりました)。
1158黒点群は、昨日の午後、14日13時(世界時14日4時)以降、一段と活動が強まり、
C 8.3、C6.6、C9.4、C7.0とCクラス後半のフレアを頻発させました。
そして、15日2時半(世界時14日17時半)に、M2.2と2つめの中規模フレアを起こしたのです。
その後も、C6.6、やや弱まってC2.7、C2.7と小規模フレアを起こし続け、
つい先ほど、X2.2の大規模フレアの発生となりました
X2.2の大規模フレアによるCMEは、太陽のほぼ中心で発生していることから、
地球へ確実にやって来るでしょう。
どのくらいの速度でやって来るのか、
かなりの高速であれば2日後には地球に到達する可能性もあります。
STEREOやSOHOの写真がそろうと、様子も分かってくるかもしれません。
これから4日間くらいは大いにデータに注目してください。
先週の週末くらいから、太陽活動系か?という感じの意識への影響を少し感じていたけど、ここに来てX級の爆発がいきなり起こったので驚いた。いよいよ太陽活動も本気出して来たのだろうか。
エジプトでの革命がムバラク大統領を圧倒し、辞任に追い込んだのが2月11日(金)。中東での民衆の蜂起はイランにまでも伝播するのではと今度は言われている。やっぱり太陽と集合意識はリンクしている。
強烈なエネルギーがやってくる時はテンパりがちだけど、こういときこそゆるーい感じで行きたいものだウト゚+。(o´ェ`o)。+゚ウト
2011.
02.
03
先月このアニメを観たけど、そのテーマソングがとても印象的だった。
http://www.youtube.com/watch?v=Frn0zv57YEc&feature=related
アニメ「ぼくらの」は『ココペリ』という謎の男の企みによって、地球の運命を背負って戦うことになった中学生たちの葛藤のドラマを描いている。
敵キャラのデザインが「なにこれ?使徒?」(笑)と思わず言ってしまいそうになる、エヴァには当然影響を受けてると思われるがまたちょっと視点が違うところで展開されるストーリーは面白い。
話しが面白くなってくるのは、これが地球の存亡ではなくひとつの宇宙全体のサバイバルを賭けた、パラレルワールド間の戦闘である、ということがわかってからだ。そしてそれは似通った可能性の宇宙を「間引く」ためにおこなわれる。
このゲームを開始した「支配者たち」という存在を少年のひとりが幻視するのだが、彼らは真っ白な服を着ている普通の人間だが、「奴らはあまりにも大きすぎて、、遠すぎて、、届かない。」と少年は言う。僕はこのシーンがなんともサイケデリックで一番好きだ。というのはなんかその白服の支配者たちが、巨大な存在を観た彼の心が変換したイメージだと言うことをうまく伝えてくるからだ。
そんなこともあり、結構面白い話しだけど、テーマソングの「アンインストール」はどういうことを意味しているのか?普通に考えたら、プログラムを消去する、つまり、消え去った宇宙や彼らの命のことを言ってるのかもしれないが・・・「アンインストール」が持つ意味が少し気になってきた。
♪あの時最高のリアルが向こうから会いに来たのは
僕らの存在はこんなにも単純だと笑いに来たんだ♪
人間は食べなくても生きられるという人がいる。
実際去年は水も飲まず生きるインドの聖者がマスメディアに登場して話題になったりもした。
僕が思うに、こういう人はすでに、というか昔から無数にいる。
そういう意味では別に珍しくはない。
日本で有名なのは長南年恵(ちょうなんとしえ)だろうか。
24年間不食で、様々な物質化現象なども起した。
世間を騒がせ裁判にかけられたが、裁判中裁判官の要請に答え、密閉された瓶の内部に液体を出現させたという。長南年恵のケースは記録が残ってるけど、ひっそり生きた不食の人というのはそれこそ無数に存在したと思う。
最近、『不食の時代』という映画が公開され、一部で話題になった。
映画のキャッチコピーは 食べないという人生も面白い。
http://www.youtube.com/watch?v=fsxug-12fz0&feature=related
この中で「甲田メソッド」という生菜食療法で難病を克服し、1日1杯の青汁の生活を続けている鍼灸師の森美智代さんという女性が紹介されているらしい。摂取するカロリーはなんと一日80キロカロリー。女性でも普通は1500カロリー以上を摂取することを考えると、ほとんど食べてないに等しい。
映画を是非見て見たいと思ったけど、生憎関東での上映は先月終了したようだった。
不食、について調べたくなったのは「俺、今腹減らないのに食ってるよね?」と思うときが頻繁にあったからかもしれない。あと、なんつーか一日3食食べるのがめんどくさい。そんないらんと思うんです、実際。でもなんとなく時間が来ると食ってる感じが自分でイラッとした(笑)
ということでプログラム『昼飯』をアンインストールしてみることにした。
だいたい休みの一日をこんな感じにしてみた。
朝:おにぎり一つ みそ汁 ピュアシナジー コーヒー
昼:青汁 1杯
夜:きつねうどん
昼から夜にかけて、さすがに積極的な空腹感を久しぶりに感じた。でもまあ、腹へってしょうがないと言うことはないか。むしろちょっとハイになる。
これからは一日2食くらいで、腹減った感がない時は食うの止めようかなとちょっと思った。
昔から小食で、169センチ、52キロくらいなのでBMI測るとだいたい「やせすぎ」になる。もっと食った方がいいのかと思っていたが「食いすぎ」の可能性は視野になかった。というのは「甲田メソッド」では一日一食にした人が長期的には体重が増えると言う現象も見られるらしいのだ。
まあこれで40キロくらいになったらさすがにヤバイか・・・と感じると思うが、実験的により小食でやって見ようかと思った。週一で断食とかもいいかもしれないが。なかなか「食わない」というのは面白いかも。やっぱすっきりはするね。これがんがんやるなら僕は青汁ではなく、ピュアシナジーを応用しようと思う。
そういえばプログラム『テレビ鑑賞』をアンインストールしたのはまったく後悔してないし、いまのところ欲しくもない。電気屋さんいくと3Dとかあって、「おー飛び出してる!すげ~」とは思うけど、別にいらん(笑)人によって違うと思うけど、僕はテレビがないほうが楽しい。というのは頭が、娯楽的思考を以前より出してくるからだ。それを観てひとり笑ってることもある。アブねー・・
思考情報っていうのも、一端遮断すると頭がおなかが減ってくるので、そうしたら必要な情報が入りやすいような気もする。外から入ってきたり、思いついたり。お腹へってないのに詰め込んでると食に対する感性がおかしくなるのと同じことが情報についても言えるんじゃないだろうか。
結局何事も空(から)というかゼロの状態を体験し、そこを基準点としていろいろやることが大事なのかも。
お腹も、頭も、からにする。
食べない。
携帯も、パソコンも、テレビも切る。
部屋のゴミを捨てる!
そんなことで以外と調子が良くなる。
自分が大事なことがなにかも思い出す。
アンインストール!!今年のテーマとなるかな?
当たり前と思うことほど自分を縛ってたりするんすね。
2011.
02.
01
Across the universe
寝転んで
見知らぬ窓辺を見上げた時
雲は流れ続けていた
ここは昔僕の部屋だった
でももう僕が愛した本も音楽も
ここにはなく
いくらかほこりっぽい物置になっている
机の上には地球儀だけが
ぽつんと残って日を浴びている
見知らぬ窓辺に雲は流れる
あれから僕は一人で
知らない国を周ったのだ
孤独なブルーベリーガムの味のように
鼓膜の奥に鳴り響く
Across the universeを聴きながら
それは青い宇宙のキッチンに転がる
ガラス玉のリズム
そのリズムが促すまま
僕は歩き続けた
キッチンには誰もない
皿の上の渦状銀河は冷めてゆく
Jai Guru Deva om・・・・
優しくなんかはなりたくなかったが
あの時見た雲の流れは速すぎて
乗り込むことは出来なかった
僕はターミナルのベンチに座り
チケットを買うことも忘れていた
この異国の雲の流れに我を失い
そういうふうに
僕が過ごしてきた部屋は異郷となり
生きることは帰らないことだと知った
そして
青空の中へ漂い出て行った
孤独なブルーベリーガムの味のように
鼓膜の宇宙に鳴り響く
Across the universeを聴きながら
ひとりきりの旅は淋しいもんだけど
僕を導くこのリズムに乗って
こころの命じるままに
どこかへ流れていこう
異郷となったあの部屋で
地球儀がゆっくりと周り始める
Jai Guru Deva om(おお、神に勝利あれ)
1998