Childhood's end


夏が去り 鳥が啼き 影が瞬いた
 僕は落ち葉を踏んでいる
 時は10月
 祭りの後の広場に 再び帰る人はなく
 
 雨が降った

 きらめく8月の終わり
 魚の形の雲がすごい速さで流れていく
 空の下
 まだ誰もいない学校のグラウンドに立ち
 砂埃の中 目をこすりながら
 点滅する影を見ていた
 雲間から太陽が現れ
 濃くなった夏の影たちを
 地面にくっきり焼き付けると
 うれしくなった

 大きな魚が太陽を腹に呑み
 影が消えたときも
 なんだかドキドキした

 遠くの大木がざわざわ揺れて
 雨の匂いがする
 南の海から
 嵐がやってくるのかもしれない

 まぶしい7月のさなか
 深海の気配のする水族館の中で
 僕は待っていた
 蛍光灯の下のカブトガニたちが
 古代の海に帰り
 巨大なジンベイザメが
 幻の海底トンネルをくぐりぬけ
 目が痛くなるほどの光の中へ
 溶けていくことを

 夏が去り 鳥がはばたき 影が消えた
 時は10月
 僕は湿った落ち葉を踏んでいる
 多くの魚たちや 
 嵐の夜の冒険を想いながら

 みんなどこへいったんだろう?

 雨に煙る祭りの広場には
 腐った材木や 錆びた鉄骨が眠り
 僕の問いかけに答えるものは
 何もない
                      
                                  1996

















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詩集1(Birth) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2011/01/21 21:01
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