知恵のスペクトル 


 今日もまた生まれたての新しい太陽
 ぬくもりの中目を閉じると
 アンモナイトたちを包み込んだ
 光の記憶がある
 いつも生まれた時から僕とともにあった
 この光はなんだろう?

 遥か彼方で発生する
 核融合の熱とひかりだという
 でも絶え間なく爆発し続ける原子爆弾よりも
 こんなに暖かく 命そのものであるようだ
 
 いつも僕を照らすこの光と
 空に大きく輝くあの存在の意味を
 僕はいつでも知らない気がする
  
 太陽って?
 地球って?
 水って?

 光って何?

 科学の言葉でわかった気になっても 実は何も知らない

 宗教の言葉で崇拝しても それが本当かわからない

 地面が割れて火噴き上げ 大地が海に沈んだり
 海底が突然山脈になったり  

 太陽が光を送るのをたった一日休んでも

 僕らは何もわからなくなり ただおろおろするだけだとわかっているのに

 これがいつまでも続くのが当たり前とばかりに
 暖房の効いた部屋で新聞やテレビに文句を言ったり
 海底や地下の資源を取り合ったり
 大地に勝手に値をつけて 売ったり買ったりして

 あの大空に光る大きなもののことも
 僕らを腹の上で養うおおきな老女のことも
 なんだかわかった気でいる 

 焚き火を前にして古代人たちが見ている
 目をこすったり 笑ったり
 どこまでも立ち並ぶ摩天楼の山並み
 火を吹く鉄の鳥たちを
 それは炎の中に現れた 幻影だ
 それよりも 踊ろう 踊ろう
 輪になって と誰かが手を差し伸べる
 

 幻影のメトロポリスの地下を走るサブウェイの中で
 シガレットとコーヒーの匂いとともに発展・進化してきた
 知恵のスペクトル

 窓ガラスにかざしてみると
 その両端は輝きの中へ消えて
 僕らにその光という命の意味を問いかける

 目がくらむような畏れと
 無知の安らぎの中で
 焚き火を前に
 僕は古代人たちと手をとって炎を回りながら
 知恵の『輪』を完結させるだろう


                                   2 17 2013


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詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2013/02/17 23:54
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