3月28日修道会①

  個我が『ベルゼバブ』だった場合、ユダの福音書

  前回の修道会で、グルジェフの個我(魂)は周囲に混乱を起すような性質のものだった(でも真理を悟ってもいる)というのをきいた、その流れの続き。

 『でもね、自分の個我がそういう性質のものだと気づかせてもらえるというのは、逆にそこにすごい神からの恩寵があるんだよ。グルジェフにしてもすごい神への感謝があったと思うよ』

 「じゃあ、僕が自分の個我に目覚めた時、それが魔的なものである可能性もあるわけですか?」

 「それは、あるよ(可能性としては)」

 えっ・・・

 「それはね・・・例えば・・・」
 とI先生はセッションルームの隅から、一冊の本を持ってきた。

 それはナショナルジオグラフィック社から数年前に出ている、「原典 ユダの福音書」だった。
 これは僕も持っている本だった。
 現在のバイブルには、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ、の四つの福音書(キリストの言動を記したもの)が存在しているが、この他にもトマスや、マリアの福音書というものが存在していた。しかし、現在の聖書が編まれる時にこれらの書は異端として排除された。
 「ユダの福音書」もそんな異端的文書のひとつである。(だが異端的ということは秘教的ということでもある)
 通常、ユダはイエスを裏切った弟子として語られるが、正統派キリスト教以外の教えの中ではユダはキリストにもっとも近かったというものや、ユダは神の意志が行われるためにあえてイエスを「売った」という説がたくさんある。
 「ユダの福音書」は1970年代にエジプトで発見されたものだが、この福音書にもユダが単なる裏切り者ではなかったことが暗示されている。
 
 I先生は、その本に載っている福音書の一部分を読んでくれた。



 ある日、イエスは弟子達とともにユダヤにいて、見ると、弟子達が集まって信仰深く儀式を行っていた。集まって座り、パンに感謝の祈りを唱えている弟子達に近付くと、イエスは笑った。

 弟子達はイエスに言った。
 「先生、あなたはなぜ私たちの感謝の祈りを笑っておられるのですか。私達が何をしたというのです。これは正しいことではありませんか」

 イエスは彼らに答えて言った。

 「私はあなたがたを笑っているのではない。あなたがたは自分たちの意志でそうしているのではなく、そうすることによって、あなたがたの神が賛美されるからそうしているのだ

 彼らは言った「先生、あなたは○○われわれの神の子です」

 イエスは言った。「あなたがたにどうして私がわかるのか。本当に、私はあなたがたに言う。あなたがたの内にある人々のどの世代にも、私がわからないだろう」

 これを聞いて、弟子達は腹を立て、怒り出し、心の中でイエスをののしり始めた。
 彼らが理解していないのを見ると、イエスは彼らに言った。
 「なぜこの興奮が怒りに変ったのか。あなたがたの神があなたがたの内にいて、○○があなたがたに心魂の中で腹を立てさせたのだ。あなたがたの内にいる、勇気のある完全なる人を取り出して、私の眼前に立たせなさい」

 彼らは口を揃えて言った。「私たちにはそれだけの勇気があります」
 しかし彼らの霊は、イスカリオテのユダを除いて、イエスの前に立つだけの勇気がなかった。ユダはイエスの前に立つことが出来たが、イエスの目を見ることが出来ず、顔をそむけた。

 ユダはイエスに言った。
 「あなたが誰か、どこから来たのか私は知っています。あなたは不死の王国バルベーローからやってきました。私にはあなたを使わした方の名前を口に出すだけの価値がありません」




 ユダは言った。「先生、やはり私の種子は支配者(アルコーン=この世の管理者、サタン )たちの掌中にあるということなのですか」

 イエスは答えて言った。「来なさい、私は○○○・・・・だが王国とその世代のすべての人々を見ればお前は深く悲しむことになるだろう」

 これを聞いて、ユダはイエスに言った。「私がそれを知ると、どんなよいことがあるのでしょうか。あなたはあの世代のために私を特別な存在にしたのですから」

 イエスは答えて言った。「お前は13番目となり、のちの世代の非難の的となり、そして彼らの上に君臨するだろう。最後の日々には、聖なる世代のもとに引きあげられるお前を彼らは罵ることだろう



 「だがお前は真の私を包むこの肉体を犠牲とし、すべての弟子たちを越える存在になるだろう。

 すでにお前の角は立ち上がり
 お前の憤りは燃え上がり
 お前の星は明るく輝き
 お前の心は強くなった

 (中略)

 ・・・そしてその時、アダムの大いなる世代の像は高みに上げられる。なぜなら天、地、天使たちが存在するより前に、永遠の王国からやってきたあの世代が存在するからである。さあ、これでお前にはすべてを語ったことになる。目を上げ、雲とその中の光、それを囲む星々を見なさい。皆を導くあの星が、お前の星だ」

 ユダは目を上げると明るく輝く雲を見つめ、その中へと入っていった。


 (○○は文書の欠落部分)

 この文書はユダが、いくばくかの金と引き換えに師イエスを引き渡すシーンで終わっているが、それ以前の文があるためにその行為はまったく違った意味合いを帯びてくる。
 またユダと言う人物は、むしろイエスにもっとも近かったと思われる。
 裏切り者の汚名を着ると知っていて、運命を甘受するユダ、そしてその行為の意味をただ一人理解しているイエスとユダの絆は言葉に出来ないほど感動的だ

  「だからね、イエスの最後のはりつけもすごい話しなんだよ。イエスとユダだけが(神の意志を)わかってて、あとは全部眠ってるみたいな、イエスとユダの二人芝居みたいなものだよね」とI先生。

 「もしM君の個我がユダみたいだって気づいたら、がーん、俺先生を殺さなきゃなんないって(笑)」

 が・ガーンって、そんな軽いノリだったらやですね・・・・(^ ^;
 

 (つづく)

 
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修道会日誌 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2009/03/31 10:38
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