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大洪水の夜

 どうでもいいことだが、君にそういう縁があったら
 君は見るだろう
 海の中に沈んだ
 大都市の影を    ダンテス・ダイジ


 
 大洪水の夜を覚えているかい?

 あの大地を覆う闇の中で嗅いだ
 風と水の匂いを
 あの夜僕らは旅立った
 オリーブの香る新しき世界へと
 すべての古きものに別れを告げて

 荒れ狂う水はすべてを洗い流す
 目に見えるものだけじゃなく
 いくつもの思い出や 名前
 言葉さえも
 決して忘れないと誓いあった約束も

 無情にも失われていく
 無数の涙と笑い声
 語り明かした夜々と
 花咲く丘でのせつない記憶
 水はすべてを洗い流す

 何回も何回も
 生まれ変わるたびに渡ってきた
 忘却の河レテ
 あの河の渡し守のオヤジはどんな顔をしてたっけ?
 レテは数万年に一度の氾濫を起し
 黄泉の境を越えて
 この世界へとなだれ込む
 
 世界中の記憶を洗い流し
 きよめるために

 生まれたばかりの赤ん坊の瞳に
 ある深い泉
 から新しき世界が生まれる

 渚にたって打ち寄せる白い波を見た時
 なぜかたまらなくなつかしくなるのは
 いつかあの水の夜にさらわれていった
 すべての記憶の反映が
 無数の泡のひとつひとつに映って
 弾けながら語りかけてくるから

 いつかそれらは想起の驟雨となり
 僕らを目覚めさせる
 その時水の残酷さとは
 やさしさであったことがわかるだろうか

 大洪水の夜を覚えているかい?

 あの闇の中で嗅いだ
 風と水の匂いを・・・・ 



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                                 2008年


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詩集2(火水の子供たち) | コメント(0) | トラックバック(0) | 2011/08/16 19:37
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